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3541 東証グロース(卸売業)

農業総合研究所

企業情報

事業内容(レポートから抜粋)

新しい農産物流通モデルの「農家の直売所」を運営する農業関連ベンチャー

農業総合研究所(以下、同社)は、「農家の直売所」の流通プラットフォームを運営している。このプラットフォームでは、各地の農業生産者から集荷した農産物を、集荷翌日に都市部のスーパーマーケット等の小売店舗(以下、スーパー等)の直売所コーナーで販売することを可能にしている。

「農家の直売所」は、農業協同組合(以下、JA)による市場流通や「道の駅」の直売流通といった既存の流通形態の中間に位置し、両者の良いところ取りをした「第3の流通形態」である。同時に、生活者、スーパー等の販売者、生産者のそれぞれにメリットのある「三方良し」の仕組みとなっている。

「農家の直売所」を通じてどれだけの農産物が取引されているかを示すのが流通総額である。流通総額の拡大に向けて、同社は、生活者と接点を持つ販売者(スーパー等)の需要サイドと、農産物を供給する生産者の供給サイドの双方に付加価値を提供するよう、仕組みのブラッシュアップに余念がない。

この「農家の直売所」の流通形態は、物流機能とIT機能の掛け合わせで成り立っている。物流の機能としての特徴は、生産者とスーパー等の間をつなぐ集荷場ネットワークの存在である。また、ITの機能は、生産から流通に至るまでの細かい業務をIT利用の作業に置き換えていくことで構築されてきた。これらが同社の強みとなっている。

国内での流通形態である「農家の直売所」のモデルをベースに、子会社の世界市場(東京都港区)を通じて、国内の生産者と海外のマーケットを結ぶ「ニッポンイチバ」の流通形態の構築を進めている。なお、子会社の重要性が増したことにより、17/8期第4四半期から連結決算へ移行した。

同社の事業は、農家の直売所事業の単一セグメントだが、取引形態に応じて5種類に区分される。そのうち、手数料だけを売上高に計上する委託販売システムは、18/8期の連結業績全体に対し、売上高の60.2%、売上総利益の83.2%を占めている。

(2018年12月21日時点)

沿革(レポートから抜粋)

代表取締役社長の及川智正氏は東京農業大学の出身で、卒業論文は、「日本の未来の農業」がテーマであった。その執筆の過程で、既存の業界の仕組みを変えることで、農業の衰退が防げるのではないかと考えた。そして、漠然とではあるが、農業に関連する仕事に就く気持ちを抱いていた。

97年に大学を卒業した後に就職したのは、農業とは関係のない、ガス販売の巴商会(東京都大田区)であった。そこでは、営業職を中心に従事し、大手客先を任されるほどとなった。6年の勤務を経た後、農業に対する想いを叶えるべく、和歌山県出身の夫人の縁で、03年に和歌山県で新規就農した。

和歌山県で3年間、苦しみながらも農家として農業に従事したことで、スーパーマーケットに自ら営業し、需要のある農産物を持っていくという販売手法が受け入れられることに着目した。同時に、マインド面も含めて農家が多くの課題を抱えていることと、一農家では農業の業界を変革できないことに気づくこととなった。

そうした折、エフ・アグリシステムズ(現フードディスカバリー野菜ソムリエ協会)に参画し、農産物流通の部門を立ち上げる責任者として、販売する側に立つ機会を得た。具体的には、大阪府の千里中央に八百屋を立ち上げ、農家から野菜を仕入れて生活者に売ることとなった。

1円でも高く販売したいと考える農家(生産者)の立場から一転、農産物を仕入れる販売者となって1円でも安く仕入れようという立場になった。この両方を経験したことで、生産者と販売者が共存できていない状況を変えるところに、業界を改革する突破点があることに気づくに至った。

そこで、07年に和歌山に戻り、生産者と販売者をつなぐビジネスに携わろうとしたが、適した企業・組織が世の中に存在していないと考え、生産者と販売者の両方を経験したことを武器に、同社を設立した。

同社設立後、最初に手掛けたのが、農家の営業代行である。例えば、紀州みかんを農家の代わりに高級スーパーに販売するといったビジネスである。

販売代行では、農産物そのものはよく売れた。しかし、販売代行の対価として現金を得ることはできなかった。商習慣上、農家には販売代行というサービスに対して報酬を払うという発想自体がなかったためである。そこで、仕方なく、現金ではなく現物(農産物)で報酬を得て、それを自分で販売することで現金収入を得るようになった。

そうしているうちに、「同社に農産物を渡すと高く売ってくれる」という評判が立ち、農産物が同社に集まるようになった。

農家から直売に関する相談を受けるようになった。それまで直売と言えば、道の駅やファーマーズマーケット等が存在していたが、販売量や立地、農家にかかる作業負担等のデメリットもあったのでどうしたら良いかという内容であった。

そこで、同社は、都会でファーマーズマーケットを作り、そこに農産物を送り込んで販売するというビジネスの着想に至り、スーパーマーケットの野菜販売コーナーを直売所にするという、現在の委託販売のビジネスモデルの確立につながっていった。

「農家の直売所」と名付けられたこのサービスは、08年の和歌山県紀の川市での初の集荷場の開設を経て、スーパーマーケット2店舗と生産者20名をつなぐところから始まったが、関西圏、首都圏へ次々に広がっていった。

なお、その過程で、11年には、農業関連のビジネスの立ち上げを模索していたディスク研磨機の分野でトップシェアの株式会社プレンティー(東京都品川区)の出資を受け、親会社となっている。

同社のビジネスモデルの評価は高く、独立行政法人中小企業基盤整備機構が主催する日本ベンチャーアワード2016の経済産業大臣賞を受賞した。

(2017年7月21日時点)

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